シュガーリング脱毛は、砂糖やレモンなど自然由来の成分を用い、肌に優しいとされる脱毛法である。
手軽に自宅で行えることから近年人気が高まっている。
しかし、その簡便さの裏に火傷や肌トラブルのリスクが潜んでいることも忘れてはならない。
(後ほど症例画像をお見せするが、見たくない方はここで引き返すことをおすすめする)
さらに、脱毛効果を高めるために光脱毛と併用するケースも見られるが、これは肌への過度な負担を招き、トラブルが生じる可能性もあるのだ。
本記事では、シュガーリング脱毛のメリット・デメリットを整理し、安全に使用するための留意点と、最適な脱毛方法の選択について解説する。
シュガーリング脱毛のメリットとデメリット
メリット | デメリット |
---|---|
自然由来の成分で肌に優しい 砂糖やレモンなど自然成分が主成分で、肌に刺激が少ない。 |
永久脱毛はできない 毛根を破壊しないため、定期的に施術が必要で、時間が経つと再生する。 |
短い毛でも処理可能 2〜3mm程度の短い毛でも脱毛可能で、定期的なケアがしやすい。 |
痛みが伴う 毛を根元から引き抜くため、特に敏感な部位では痛みが生じやすい。 |
角質も一緒に除去できる ピーリング効果があり、施術後は肌がなめらかになる。 |
火傷のリスク 加熱温度が適切でない場合、火傷や肌トラブルが発生する可能性がある。 |
家庭でも手軽に行える 材料が入手しやすく、比較的簡単に自作可能で経済的。 |
顔やデリケートゾーンには不向き 粘膜近くや敏感な部位に使用すると炎症や感染のリスクが高まる。 |
毛が生えにくくなる効果がある 定期的に行うと毛が薄くなり、生えにくくなることがある。 |
処理に手間がかかる 温度管理やテクニックが必要で、慣れないと効果的に施術しにくい。 |
手入れ頻度が減る カミソリよりも長持ちするため、処理頻度を減らせる。 |
敏感肌への負担 皮膚を引っ張るため、敏感肌では赤みや炎症が生じやすい。 |
市販のシュガーリング脱毛で火傷を負った症例その1
シュガーリング脱毛やワックス脱毛で火傷を負う危険性は、思いのほか高い。
この症例では、自宅にてワックスを使用し、二度の火傷を負うに至った。
※ちなみに、「二度の火傷」とは、皮膚の外層(表皮)と内層(真皮)の一部に損傷が及んだ火傷の状態を指す。この火傷の特徴は、皮膚が赤く腫れ、水ぶくれができ、痛みを伴うことにある。
ことの発端は、電子レンジでワックスを加熱した際に起きた。
ワックスの上部が固まったまま、底部のみが溶けてしまい、その状態を確かめようとした瞬間、かたまりが溶けた液体に押し込まれ、熱々のワックスが弾け飛んで腕や手首にかかったのである。
熱すぎるワックスは極めて危険であり、シュガーリングサロンでもこういった事故が起こるかもしれない。
市販のシュガーリング脱毛で火傷を負った症例その2
続いての症例では、17歳の女の子が、流行していたシュガーリング脱毛の説明書に従って脱毛ワックスを自作した際に火傷を負い、皮膚移植が必要になる可能性まであったという深刻な事故が発生した。
母は、当初、彼女が自宅でよくお菓子作りをしていたこともあり、特に心配していなかった。
しかし、火傷したことが判明した際には指の皮膚が大きく剥がれて、ピンク色部分が露出していたため、緊急治療室へと急行したのである。
医師によると、シュガーリング脱毛用のワックスを冷蔵庫で冷やす際、部分的に熱が残りやすく、それが電子レンジで再加熱された際に「ホットポケット」という局部的な高温箇所を形成し、急激な反応が起こるとのこと。
この「ホットポケット」が指に飛び散り、火傷を引き起こしたのだ。
以上の2つの症例から、市販のシュガーリングの使用には注意が必要ということが分かる。
シュガーリングの脱毛サロンなら安全なのか
シュガーリング脱毛を考える際、サロンで行えば安全というイメージを抱きがちだが、現実は一概にそうとは言えない。
シュガーリングサロンでもやはり火傷などのリスクは存在し、さらに、多くのサロンには医師が常駐していないため、万一火傷や肌トラブルが発生した場合でも迅速な医療対応が期待できないことがある。
サロンでのシュガーリングの危険性の要因は以下の3点だ。
- 温度管理の難しさ:シュガーリング用のペーストは適温が非常に重要で、わずかな温度変化でも肌にダメージを与えるリスクがある。サロンではプロが温度調整を行うが、それでも人為的なミスや器具のトラブルなどで温度が適切に管理されない可能性がある。シュガーリングペーストが過熱状態で肌に塗布されれば、深刻な火傷につながる恐れがあるのだ。
- 肌の状態を見極める判断力の限界:サロンのスタッフは一般的に美容のトレーニングを受けているが、医師のように医学的な診断を下す能力は持っていない。そのため、敏感肌や肌のトラブルがある顧客に対し、適切な判断ができない場合がある。特に炎症や傷跡のある肌にシュガーリングを行うと、さらに悪化するリスクがあるため、医師のアドバイスなしに施術することは危険である。
- 火傷やトラブル発生時の対応力の限界:多くのシュガーリングサロンには医師が常駐していないため、火傷や肌の炎症が発生した場合、すぐに適切な治療を施すことができない。その結果、やけどが重症化したり、色素沈着や傷跡が残るリスクが高まる可能性がある。サロンでの施術中に発生したトラブルについては、基本的に自己責任となるケースが多いため、十分なリスク認識が求められる。
以上の点から、サロンでのシュガーリング脱毛も必ずしも安全とは言えない。
特に肌が敏感な方やアレルギーを持つ方にとって、リスクのない脱毛方法は存在しないことを認識し、慎重な判断が必要である。
顔やVIOにシュガーリング脱毛を行なっても良いのか
特にデリケートなエリアではリスクが増大し、効果よりもデメリットが上回る可能性がある。
顔にシュガーリングを行うリスク
顔の皮膚は非常に薄く、敏感であるため、シュガーリングの粘着力がかえって負担をかけることがある。
顔の産毛を処理しようとしても、皮膚に過度の引っ張りが加わり、赤みや腫れ、乾燥を引き起こすことがある。
さらに、顔は外部の刺激を受けやすいため、火傷や色素沈着のリスクも無視できない。
VIOにシュガーリングを行うリスク
VIOは特に敏感でデリケートな部分であり、シュガーリングの粘着力が痛みや炎症の原因になることが多い。
VIOへの脱毛は、痛みが非常に強くなる傾向にあり、施術後の赤みや腫れ、毛嚢炎(毛穴の炎症)が発生しやすい。
また、粘膜に近い部位も含まれるため、過度な刺激や引っ張りが加わると、細菌感染や肌トラブルが長引くリスクがあるのだ。
このように、顔やVIOに対するシュガーリング脱毛は、トラブルのリスクが高すぎるためおすすめできない。
シュガーリング脱毛と光脱毛は併用しても良いのか
結論として、シュガーリング脱毛と光脱毛の併用は避けるのが賢明だ。
理由は、以下の通り。
肌への負担が大きすぎる
シュガーリング脱毛は毛根から毛を引き抜くため、肌に大きな摩擦と引っ張りが生じる。
その後、肌が十分に回復しないうちに光脱毛の照射を行えば、肌が熱に過敏に反応し、炎症や色素沈着、乾燥などのトラブルが発生しやすくなる。
こうした肌トラブルは見た目だけでなく、肌の健康にも悪影響を及ぼす。
安全性の観点から専門家も推奨しない
多くの脱毛の専門家は、シュガーリングと光脱毛の併用を避けるよう指導している。
特に敏感肌や色素沈着が気になる人にとって、併用による肌トラブルのリスクは高く、日常の肌ケアで回復させるのが難しいケースも多い。
医療従事者や美容専門家のもとでの脱毛も、肌の回復期間を十分に確保した上で行われるため、併用は避けるよう推奨されている。
効果を最大化するなら単独での施術がベスト
脱毛効果を最大化するためには、シュガーリングと光脱毛のどちらかに集中する方が効果的(あくまで一時的な効果)である。
シュガーリングなら定期的に毛を根元から取り除くことで毛が薄くなる効果が期待でき、光脱毛ならば光の照射により毛の成長を抑えられる。
しかしながらシュガーリング脱毛と光脱毛で永久脱毛は難しい
実は、シュガーリング脱毛や光脱毛のみで「永久脱毛」を達成することは難しい。
両方とも毛の成長を抑える効果はあるが、毛根そのものを破壊することはできないため、時間が経つと再び毛が生えてくる可能性が高い。
シュガーリングは、毛を根元から引き抜く脱毛方法で、数回繰り返すことで毛が細くなり、生えにくくなることはある。
しかし、毛根(毛包や毛母細胞)自体を破壊するわけではないため、永久的に毛の成長を止めることはできない。
特にホルモンの影響で成長が活発な部位では、定期的な施術を続けない限り、毛は再生してしまう。
光脱毛(IPL脱毛)は毛の成長を抑制するのに効果的で、定期的に行うことで毛が薄くなったり生えるスピードが遅くなったりするが、医療用レーザー脱毛と違い、毛根を完全に破壊するわけではない。
そのため、数年経つと再び毛が生え始めるケースが多い。特に体質やホルモンの変化によって、元の状態に戻ることもあるため、永久脱毛には至らない。
永久脱毛を目指すなら「医療レーザー脱毛」を
永久脱毛を確実に目指すには、医療機関でのレーザー脱毛が最も効果的である。医療レーザーは毛根に強いエネルギーを集中させ、毛包を破壊するため、永久的に毛が生えにくい状態を作り出せる。
医師の管理のもとでのみ提供されるため、施術の安全性も高く、長期的な脱毛効果が期待できる。
まとめ
シュガーリング脱毛には、自然由来で肌に優しく家庭でも手軽に行えるという利点がある一方で、火傷や色素沈着、痛みなどのリスクも伴う。
特に、顔やVIOのような敏感な部位への使用はトラブルが発生しやすく、適切な温度管理や慎重な取り扱いが不可欠である。
また、光脱毛との併用は一見効果的に思えるが、肌への過度な負担や炎症のリスクが高いため、併用は避けるのが賢明である。
光脱毛やシュガーリングのみでは毛根を完全に破壊することができず、永久脱毛は難しい。
そのため、永久的な脱毛効果を求める場合、医療機関でのレーザー脱毛が最も安全で効果的な選択肢となる。